こんにちは。
8月も後半に入りました。まだまだCOVID19の終わりは見えそうにありません。
今日は、【患者に挨拶をする重要性】に言及している記事から、【医療サービスにおけるあいさつの意味合い】について考えてみようと思います。
参考記事:
The importance of greeting your patients (Qminder)
患者にあいさつする効果
特に最近は、地域の個人経営の病院はもちろんのこと、大きな病院でも、医師があいさつしてくれることが多いように感じます。
しかし、私が暮らしていたニュージーランドでは、この最初のあいさつが非常にフレンドリーでした。
大学の保健センター、公共のクリニック、個人クリニック、眼科専門医、歯科、どこに行っても、最初に看護師が話を聞いてくれますが、簡単な挨拶、名前を何と呼べばいい?日本人?学生?何してるの?等々、初めて友達になる時の様な質問攻めにあいます。
これは、この記事の中でも触れられていました。
- 医師と患者とのrapport(関係)構築
- 心からの共感を示すことができる
- 患者に【特別感】を与えられる
65歳以上の患者の多くは、Mr. やMs.を付けた名字で呼ばれることを好み、若い患者は下の名前で呼ばれることを好む傾向にあるようです。しかし、実際に患者の希望を聞いて、その通りに読んでいる医師は半分ほどであるとのこと。
また、名前で丁寧に呼ぶことで、
- 親近感が湧く
- 自分と向き合ってくれている
- 話を聞こうとしてくれている
と感じて、満足する患者も多いようです。
そして、患者が希望する名前で呼ぶことで、患者は【特別感】を感じることができます。
【自分の為に時間を割いてくれている】【自分の話を集中して聞いてくれる】という感覚です。
私自身も、海外の医療機関で感じることが多くありました。特に、専門的なことなのに英語がうまく伝えられなかったら?という不安がある中で、下の名前で呼んで、私自身に関することを聞いてもらえるのは、安心感がありました。
長時間、体調が良くない中で待たせられ、あいさつもない、話も聞いてもらえない場合は、それだけで、その医療機関に対する満足度が下がります。多少待たせられても、医師が笑顔で「お待たせしました、○○さん。今日はどうしましたか。」と声をかけてもらえれば、気持ちがだいぶ変わります。
他にも、幾つかの重要なあいさつの効果が挙げられています。
- 待ち時間の不満を軽減する
- 患者を【個】の大切な存在と認識していることを示す
- 患者が治療に協力的になる
患者は、待ち時間も廊下などで挨拶され、診察では【個】として大切に丁寧に接してもらうことで、医師や治療へ、より協力的になるという研究結果もあるようです。
第一印象の重要性
患者からすると、診察室に入る際に、医師の名前を見たり、受付や看護師から医師名を伝えられることはあっても、なかなか医師の名前を知らない、覚えていないことが多いです。
教員時代に、オーストラリアへの修学旅行で、生徒が救急車に乗ることがありました。
生徒が英語を話せずに、私が引率したのですが、その時の救急救命士も、病院での医師も、ステキな笑顔で挨拶してくれ、まずは自身の自己紹介をしてくれました。
その上で、生徒の状態を的確に見極めながら、緊張をほぐすために、生徒の名前を誉めてくれたり、自身の話をしてくれました。
このようなスタートだと、医師の実際の腕は分かりませんが、少なくても信頼感を持って、治療をゆだねることができます。
この記事では、医師が自己紹介や自己開示をすることにより、患者の満足度レベルが22%向上すると説明していて、医療サービスでは治療の結果のみならず、このような対応の質や、全体的な患者の感じ方を重要視すべきだと伝えています。
医師の情報を、患者に伝えることで、親近感が湧き、コミュニケーションがとりやすくなり、検査や治療もスムーズに進むようになるというのは、オーストラリアでの経験からも分かります。
コミュニケーションの方法は、海外と日本では、理解が異なる場合もあります。
それでも、私自身、日本で整骨院へ通い、その整骨院や先生のことも知らず、痛みの原因が分からなくて不安な初診時に、しっかりと自己紹介をしてくれ、私の話に耳を傾けて、コミュニケーションを取り、私が他の病院で答えを聞くことができなかったことにも、1つ1つ真摯に答えてくれる姿は、非常に信頼でき、その後の治療も十分な効果が出たことを考えると、あながち間違いではないと感じます。
患者の心に触れる
調査では、80%の患者が、医師との握手を望んでおり、年配の患者程、それを望む傾向が強いようです。これは、日本のあいさつスタイルとは少し異なりますが、ボデイランゲージとして、治療的な効果よりも精神的な効果が大きいようです。
他には、会話が始まったら、【自由回答形式の質問】が効果的と書かれています。特に英語の場合は、How are you? と質問されると、反射的にFine, thank you.と答えてしまう場合が多いためです。
日本の場合は、「今日はどうされました?」と聞かれることが多いように感じます。これによって、感情や、プライベートな問題、痛みや、悩みが説明しやすくなるということですね。
病院は、病気を治療する場所ですが、その前提として、人の為に人により作られたサービスであるということが強調されており、その為、まずは【人(医師)と人(患者)の繋がり】が重要であるということです。
近年、外国人患者を受け入れる為に、AIによる通訳なども行われていますが、機械は人の心までを、その時々で読み取って対処することは、まだできません。
人間だからこそ、患者の様子や表情、顔色など、細かなところを読み取って、心に触れる対応ができるのだと思います。
まとめ
現在、医療現場は非常な事態の中にあり、想像を絶するような中で、日々の勤務にあたっている医療従事者が多くいることも事実です。
そのような状況では、なかなか悠長にあいさつやコミュニケーションをしている状況ではないでしょう。
しかし、COVID19を始め、スマホやインターネットの普及により、日々変わりゆく社会の中では、医療現場や医療サービスもまた、例外ではないと思います。
セカンドオピニオンや、病院の口コミなど、多くの国民が簡単に情報にアクセスできる時代になっています。現在は、海外との往来も制限されていますが、COVID19が終われば、また多くの外国人も日本にやってくることでしょう。
AI(人工知能)やロボットが発達すればするほど、人間にしかできない細やかな心遣いや相手の心に触れるサービスというものが益々重要になってくるのだと思います。
その最も容易にできるものとして、あいさつがあります。相手を思いやる気持ちで挨拶ができれば、良好な人間関係が構築され、それは効果的な治療に繋がることは間違いないと思います。
そして、医師側の第一印象は非常に大切ですが、一度失敗してしまえば、その患者は二度と来ることがない可能性があり、好ましい第一印象を与える機会は一回限りであることを覚えておきたい!という記事のまとめに、妙に納得しました。
興味のある方は、原文も読んでみて下さい。